2017（平成29）年度病院指標

当院の入院患者さんは70歳代が一番多く約25％（昨年度比＋2％）を占め、60歳以上の患者さんが全体の63％（昨年度比＋１％）を占めています。
高齢化により、６０歳以上の患者さんの増加が徐々に進んでいます。

誤嚥性肺炎が多く次いで肺の悪性腫瘍・大腸・胆管の疾患、腎臓の症例が多くなっています。誤嚥性肺炎における転院率の高さは、豊田会関連施設および地域医療機関との連携により急性期治療後、慢性期治療への移行がスムーズに出来ていると考えられます。

肺の悪性腫瘍で手術を実施する患者が多くなっています。肺の悪性腫瘍への治療も手術、抗がん剤治療、放射線治療と多岐にわたる医療の提供ができています。虫垂炎・胆嚢の手術は大半が腹腔鏡で行う手術になっています。
外科で一番多い症例は、ソケイヘルニアですが、腹腔鏡下で行うソケイヘルニアは、ＤＰＣ対象外のため掲載していません。

脊柱管狭窄、腰椎疾患は地域医療機関との連携により患者さんの数が多くなっています。
また、年齢階級別で60歳以上が63％を占めているため転倒等による股関節、大腿骨骨折の症例が多くなっています。

年齢階級別で60歳以上が63％を占めているように、心不全・狭心症の症例は平均年齢が60歳以上の高齢者が多くなっています。
狭心症、不整脈、心筋梗塞などの症状に対する治療として経皮的カテーテル検査・ステント留置など多く行っています。
※カテーテル検査とは
足の付け根の動脈・静脈、あるいは腕の動脈から、心臓の各部屋や血管（冠状動脈）に細く柔らかい管（カテーテル）を入れ、その中の圧力を測定したり、造影剤を使って心臓の各部屋の大きさ、筋肉・弁の動き、冠状動脈が狭くなっているかどうかなどをみたり、不整脈の原因は何かなどを詳しく調べる検査です。

小児科の症例で最も多いのは、15歳未満の急性気管支炎となっています。次いで上気道炎、ウィルスによる腸炎であり、いずれの疾患も３歳前後が多くなっています。当院は新生児集中治療室・新生児回復室の機能を持ち合わせており、低出産体重への対応も出来ています。

男性の病気として前立腺癌の症例が多くなっています。当院では、前立腺癌の手術は手術支援ロボットを用いた手術を多く行っています。次いで膀胱の腫瘍が多くなっています。泌尿器科では、腎・尿管結石で体外衝撃波腎・尿管結石破砕術を施行する症例と前立腺癌の検査として前立腺の生検を実施する患者さんが多いのですがＤＰＣ対象外のため掲載していません。
※手術支援ロボットを用いた手術とは
小さな創から内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、医師が3Dモニターを通して術野を目で捉えながら、実際に鉗子を動かしている感覚で手術が行える患者さんに低侵襲の手術です。

耳鼻科の症例で最も多いのは急性、慢性を問わず扁桃炎の症例であり、年齢階級別でも年齢は分散されています。
次いで、睡眠時無呼吸、副鼻腔炎が多くなっています。睡眠時無呼吸の検査を中心に症例が増加傾向となっていますが、ＤＰＣ対象外のため掲載していません。

子宮・卵巣の手術を実施する症例が多くなっています。当院では、良性腫瘍・悪性腫瘍を問わず侵襲の低い腹腔鏡下での手術を多く実施しています。
また、産科として年間約５００件の分娩件数を取り扱っており、当院は新生児集中治療室・新生児回復室の機能を持ち合わせています。

脳梗塞の症例が多く平均年齢もほぼ70歳以上と高くなっております。早期の治療開始と、当院併設の回復期リハビリ病棟での早期在宅復帰を目指しています。
※脳梗塞とは
脳に酸素や栄養を送る血管が細くなったり、詰まることによって、脳が壊死となる病気です。治療が遅れると死亡や重い後遺症が残りますが、発症後早期（３日以内）に治療することによって、社会復帰できる可能性が高くなります。

脳神経外科では、脳出血・脳内血腫による外科的治療と脳動脈瘤・脳血管障害による内視鏡的治療を多く行っています。年齢階級別で60歳以上が63％を占めているように、脳神経外科では平均年齢が60歳以上の高齢者が多くなっています。早期の治療開始と、当院併設の回復期リハビリ病棟での早期在宅復帰を目指しています。

皮膚科の症例は、蜂窩織炎などの急性膿皮症が多くなっています。次に帯状疱疹、皮膚に起こる悪性腫瘍（黒色腫以外）も多く扱っており、悪性腫瘍は手術も実施しています。

眼科では、白内障での症例を一番多く扱っており一泊二日での治療となっています。
次いで黄斑、斜視の手術症例、緑内障の手術症例が多くなっています。視神経の疾患は10件以下であり「－」として表しています。
白内障による水晶体再建術を実施した場合ＤＰＣ対象外のため掲載していません。

心臓血管外科では、閉塞性動脈疾患が多く、心臓弁膜症・大動脈瘤の患者が次いで多くなっており大半は手術を目的とした予定入院となっています。
平均年齢も65歳以上と高齢者が多くなっています。

※ 1：UICC TNM分類，2：癌取扱い規約

５大がん（胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌）について集計期間に入院治療を行った初発患者と再発患者の病期分類別延べ患者数です。
がんの進行度はStageや病期分類という言葉で表され、がんの拡がり・周辺へのリンパ節転移・遠隔臓器への転移の３つで決定されます。
これらの情報をもとにがんのStageは、Stage0、StageⅠ、StageⅡ、StageⅢ、StageⅣまで分類され、StageⅣが最も進行している状態となります。
当院の初発は、肺癌が最も多く、次いで大腸癌、胃癌となっています。また再発については、肝癌が最も多く、次いで肺癌となっています。
当院では2014年10月より緩和ケア病棟を開設し、医師、看護師、他職種で構成された専門チームががんの症状緩和の支援に努めています。

成人市中肺炎の重症度が高くなるほど平均年齢も高くなっている傾向にあり、中等度の症例が一番多くなっています。軽症以外の平均年齢はすべて7５歳以上となっています。
　※市中肺炎とは病院外で日常生活をしていた人に発症する肺炎です。原因菌の多くは肺炎球菌、インフルエンザ桿菌で、インフルエンザ流行期ではウイルス性の肺炎も頻度が高くなります。高齢者では症状がはっきりしない場合もあります。

脳梗塞患者のほとんどは発症より3日以内の症例であり9割を占めています。
在宅復帰に向けて回復期リハビリ病棟でのリハビリにより平均在院日数が長くなっており、すべての状態で平均年齢70歳以上と高齢となっています。
※脳梗塞とは
脳に酸素や栄養を送る血管が細くなったり、詰まることによって、脳が壊死となる病気です。治療が遅れると死亡や重い後遺症が残りますが、発症後早期（３日以内）に治療することによって、社会復帰できる可能性が高くなります。

２泊３日入院の腹腔鏡下ヘルニア手術を多く実施しています。当院では、ヘルニアを始め胆嚢、結腸、虫垂、胃等の手術は主に腹腔鏡下で行っています。
低侵襲の手術である腹腔鏡・胸腔鏡を使った手術を多く取り入れることで入院期間の短縮に努めています。また、乳腺悪性腫瘍の患者が増えてきています。
※腹腔鏡・胸腔鏡手術とは
腹部に3～15ミリ程度の穴を数か所開けて、そこから腹腔鏡や専用の手術器具を挿入し、モニターに映し出される腹腔内の様子を観察しながら手術を行う方法。開腹手術よりも患者の身体的負担が少なく、回復も早い。

年齢階級別患者でも60歳以上の患者が多く転倒などによる外傷性の骨折観血的手術が多くなっています。
椎間板ヘルニア・狭窄の治療は、地域医療機関との連携により患者さんの数が多くなっており、外傷性の骨折手術に次いで多く行っています。

内視鏡下で行う消化管のポリープ切除・止血術を多く行っています。次いで血液透析の治療に必要である内シャント設置術を多く行っています。
※内シャントとは
血液透析で、十分な血流量を確保するために、主に前腕の皮下で動脈と静脈を皮下でつなぎ合わせ、穿刺しやすい静脈に大量の血液が流れるようにすることです。

不安定狭心症や心筋梗塞の治療のため、詰まっている血管にステントを留置する経皮的冠動脈ステント留置術を多く行っています。
※経皮的手術とは
足の付け根の動脈・静脈、あるいは腕の動脈から、心臓の各部屋や血管（冠状動脈）に細く柔らかい管（カテーテル）を入れ、冠状動脈まで進めて手術治療を行うことをいいます。

膀胱・前立腺の疾患において経尿道的手術を多く実施しています。当院では、前立腺癌の手術は手術支援ロボットを用いた手術を多く行っています。
腎・尿管結石による体外衝撃波腎・尿管結石破砕術を多く行っており、石の大きさによっては一度にすべて破砕出来ない場合もあります。

子宮癌、子宮筋腫に対する手術を多く行っており、産婦人科では低侵襲の手術である腹腔鏡を使った手術を多く取り入れることで入院期間の短縮に努めています。
※腹腔鏡・胸腔鏡手術とは
腹部に3～15ミリ程度の穴を数か所開けて、そこから腹腔鏡や専用の手術器具を挿入し、モニターに映し出される腹腔内の様子を観察しながら手術を行う方法。開腹手術よりも患者の身体的負担が少なく、回復も早い。

耳鼻科では、慢性・急性扁桃炎に対して行う口蓋扁桃手術を多く行っています。次いで扁桃に膿が溜まる扁桃周囲膿瘍の症例で膿を切開して出す手術を多く行っています。
50歳以上の患者さんで副鼻腔炎における手術症例が増えています。

白内障治療の手術を多く行っています。次いで硝子体、斜視、緑内障、に対する手術が多くなっています。
患者さんの状態により糖尿病による合併症のリスクが低い場合は、入院治療でなく外来日帰り手術も行っています。
※白内障とは
“しろそこひ”と言われ、眼の“ひとみ（瞳孔）”の後ろにある透明な水晶体（カメラのレンズに当たるもの）が白く濁ってくる状態をいいます。

慢性硬膜下血腫の治療は外科的手術として、血腫へ針を刺して血腫を洗浄する手術を多く行っています。また、脳腫瘍による腫瘍摘出術も多く行っています。
術後は、ＩＣＵでの集中治療の実施と在宅復帰へ向けた回復期リハビリ病棟でのリハビリを中心に行っています。
脳血管手術では、脳動脈瘤に対して内視鏡的での治療を多く実施しています。

新生児集中治療室、新生児治療回復室の施設基準を取得しているため、当院での出生時における新生児の仮死蘇生術を多く行っています。

皮膚に出来た腫瘍の大きさ・場所・形状により実施手術が多くあり、当院では皮膚悪性腫瘍手術、良性腫瘍手術とも多く行っています。
※露出部とは
半袖、半ズボン、帽子着用で外から見える部分のことをいいます。

神経内科では、脳梗塞や神経難病で口から食事が出来なくなってしまった患者さんへの治療として胃瘻造設術を多く行っています。
※胃瘻造設術とは
口から食事のとれない方や、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすい患者さんに、直接胃に栄養を入れるために小さな口を造る手術です。

人工心肺装置を使わないで行う冠動脈、大動脈バイパス移植術を多く行っています。また、胸部に出来た動脈瘤を取り除く手術も次いで多くなっています。
弁置換術のような人工心肺を使用して行う患者も定期的に行っています。

いずれも発生率は１％未満と低いですが、患者さんの状態により臨床上おきてしまう症例であり、おきてしまうと重篤になりうる傷病名の発生率を表しています。
・敗血症
　敗血症はさまざまな病原体が血液中に広がってしまうことで起こります。慢性および消耗性疾患で免疫力が落ちている場合には起こりやすいといわれています。敗血症になると一刻を争う治療が必要となりショック、多臓器不全に陥ることで死亡率も高い傷病です。
・手術・処置等の合併症
　患者さまの治療は最善細心の注意を払っていますが、手術・処置等の合併症は患者さまの状態によって引き起こされてしまいます。臨床上ゼロにすることは非常に厳しいですがリスクの無いよう対応しています。
※「－」は10件未満であり掲示はしていません。

2018/9/28