高気圧酸素治療室
患者の皆さまへ
安全で確かな治療を提供し、皆さまの健康に寄与いたします。
高気圧酸素治療室では、腸閉塞や突発性難聴をはじめさまざまな疾患の治療をしています。この治療では、装置の中に入り全身を加圧するため、装置の安全については確実な管理体制が求められます。そこで、装置の操作から安全管理、日常点検までを医療・工学の専門家である臨床工学技士が担当し、チーム医療の一員として医師・看護師と連携して業務を行っています。
高気圧酸素治療室では確かな治療を提供し、皆さまの健康に寄与いたします。
高気圧酸素治療とは
※高気圧酸素治療についての動画はこちら
カプセル型の装置を用いて私たちが生活している大気圧(1気圧)を機械的に2気圧という気圧環境まで高めます。また、空気中の酸素濃度(21%)の5倍にあたる100%の高濃度酸素を体内に取り込みます。基本的にはその2つの環境を利用して病態の改善につなげます。
治療効果
2気圧の治療環境による効果
血管内に気泡が生じることで血液の流れが悪くなる空気塞栓症や減圧症、腸管内に貯まったガスが腸管の組織を圧迫することで血液の流れが悪くなる腸閉塞に対して、2気圧という気圧環境を作り出すことで、体内に発生している気泡やガスなどの気体を消失させます。これにより、血液の流れが改善し病態が改善していきます。
体内酸素量を増加させることによる効果
血管の狭窄や閉塞など何らかの原因で酸素不足に陥っている末梢血管障害に対して、高濃度の酸素を体内に取り込むことで通常の呼吸で得られる酸素の量を10倍~20倍まで増加させることができます。これにより低酸素状態に陥った細胞に酸素が供給でき病態が改善していきます。
酸素の毒性を利用する効果
細菌には酸素が存在する環境では生きていけない嫌気性細菌があります。高気圧酸素治療は高濃度の酸素環境であるため、嫌気性細菌の増殖を抑制します。
その他の効果
白血球の殺菌作用を増強することや新たな血管を作成すること、病気により生じたむくみを軽減させること、抗生物質の殺菌効果を高めるなどの効果も報告されています。
当院の高気圧酸素治療室の特徴
装置
東海3県で高気圧酸素治療装置の保有台数は10施設12台ですが、そのうちの2台が当院に設置してあります。
治療実績
年間130症例、1,400件以上の治療を実施しています。また、近年ではスポーツ医のもとスポーツ外傷の治療も実施しています。
人材
日本高気圧環境・潜水医学会が認定した専門医1名と認定技師2名、臨床高気圧酸素治療装置操技士3名が常勤しています。
2024年度治療実績
治療の流れ・所要時間
①治療前準備
・治療説明および耳抜きについての説明を受けます(初回のみ)
・ロッカーで専用の治療着に着替えます
・症状についてのヒアリングを受けます
・ボディーチェック受けて、治療台で横になります
・心電図モニタと酸素マスクを装着します
・治療室内へ入ります
②治療(およそ1時間35分)
・疾患に応じて治療圧の2気圧または2.8気圧まで加圧されるため、耳抜きをします(10~20分)
・治療圧に到達したら気圧がHOLDされますので、テレビ鑑賞・音楽鑑賞が可能です、眠っても結構です(60分)
・60分の治療時間が経過したら減圧されるため、耳抜きをします(15~20分)
③治療終了・退室
・治療装置から出ます
・心電図モニタと酸素マスクを外します
・治療台から降り、ロッカーで着替えます
・次回予約表を受け取り、退室します(入院患者さんは予約表はありません)
高気圧酸素治療のQ&Aはこちら
主な適応疾患
■減圧症又は空気塞栓に対するもの
■急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む)
■重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)又は頭蓋内腫瘍
■急性末梢血管障害
・重症の熱傷又は凍傷
・広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
・コンパーメント症候群又は圧挫症候群
■脳梗塞
■重症頭部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
■重症の低酸素脳症
■腸閉塞
■網膜動脈閉塞症
■突発性難聴
■難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
■皮膚移植
■脊髄神経疾患
■骨髄炎又は放射線障害
対応
緊急時なども積極的に引き受け、365日24時間対応しています。
スタッフ構成・資格
専門資格
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高気圧医学専門医(乳腺外科) |
1名 |
|---|---|
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日本高気圧潜水医学会専門技師 |
2名 |
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臨床高気圧酸素治療装置操作技師 |
3名 |
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臨床工学技士 |
20名 |