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医療の知恵袋
~目で見る市民公開講座~

2022年12月

2022年12月

【乳がん検診 Q&A】
【乳がん検診 Q&A】

Q1. 乳がん検診の目的は?

乳がんで亡くなる人を減らすこと(死亡率低減効果)」です。

  • 現在、乳がん死亡率低減効果が科学的に明らかな検査方法は、「マンモグラフィ」だけです。
  • 最近の日本人女性の乳がんを発症しやすい年齢は、45~49 歳と60~64歳と言われています。
  • 日本では、40歳以上の女性は、2年に1回のマンモグラフィを用いた検診が推奨されています。

Q2. 乳がん検診の種類は?

次の2種類があります。

  • 国の政策として、市町村が実施する「対策型乳がん検診(住民検診)」
  • ①以外で、自己責任で受診する「任意型乳がん検診(人間ドック、職域検診など)」

対策型乳がん検診と任意型乳がん検診の違い

対策型乳がん検診
(住民健診)
任意型乳がん検診
(人間ドック、
職域検診など)
目的 国民全体の乳がん死亡率を下げる 個人の乳がん死亡率を下げる
概要 乳がんの予防対策として行われる
公共的な医療サービス
医療機関や職場などが任意で提供する
医療サービス
対象者 定められた年齢の住民で、
基本的には40歳以上の女性
乳がん検診を希望する女性で、
基本的に年齢は問わない
費用 無料または一部自己負担
(税金が使われる)
全額自己負担
(職域検診では職場が一部負担することもある)

Q3. 乳がん検診の検査の種類は?

マンモグラフィ乳腺超音波検査があります。

マンモグラフィ(乳腺X線検査)

  • X線を使用
  • 乳房を圧迫するため、痛みを伴う
  • 豊胸術後などは、検査できない場合がある
  • 石灰化(乳腺の中にあるカルシウムの塊)を
    見つけるのが得意
    しこりを作らない早期の乳がんの発見に役立つ

乳腺超音波検査(エコー検査)

  • X線は不使用
  • 乳房表面にゼリーを塗り、機械でなぞるため、
    痛みを伴わない
  • 術後や授乳中でも検査できる
  • しこりを見つけるのが得意
    特に高濃度乳房(Q4.参照)における乳がんの発見に役立つ

35歳未満(特に20代)の方のマンモグラフィは、不利益(被ばくによる2次性発がんなど)が利益(乳がんの早期発見)を上回る可能性があります。 なるべく乳腺超音波検査を受けましょう。

検診はいつでも受けられますが、マンモグラフィ圧迫時の痛みが少ないのは、乳房の張りが少ない生理終了後1週間くらいです。

Q4. 乳房構成と高濃度乳房とは?

乳房は主に乳腺と脂肪からできています。乳房構成とは、乳房内の乳腺と脂肪の割合を表す言葉です。脂肪の割合が多いものから乳腺の割合が多いものの順に、「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「極めて高濃度」の4段階に分けられます。
そのうち「不均一高濃度」と「極めて高濃度」のことを高濃度乳房と呼びます。


マンモグラフィでは、乳腺が白く、脂肪が黒く写ります。乳がんなどの病変は白く写ることが多いため、高濃度乳房では、乳がん病変が正常の乳腺に隠れる可能性が高まるため、病変検出率(感度)が低くなることがあります。

脂肪の割合が多い

  • 乳房の中が黒く、透けてみえる
  • がんを見つけやすい

乳腺の割合が多い

  • 乳腺が白く、透けてみえない
  • がんが見つかりにくい
    (がんのタイプによっても違いあり)

Q5. 検診か受診か迷ったときは?

以下のフローチャートを参考にしてください。

Q6. 検診結果の見方は?

総合判定は以下のように記載されます。

乳がんの病期分類(ステージ)とは異なります。

Q7. 検診で異常を指摘されたら?

検診で異常を指摘されても、2次検査を受けずに放置し、発見が遅れたら本末転倒です。
異常を指摘された際は、乳腺科や乳腺クリニック、乳腺専門医のいる医療機関などで精密検査を受けることをお勧めします。


検診の結果が偽陽性(異常ありと言われたが、本当は異常がないこと)の場合もあるため、2次検査では、まずはマンモグラフィや乳腺超音波検査(エラストグラフィやドップラー検査など、しこりの硬さや血液の流れも調べられる検診よりも精密なもの)などの体に負担の少ない検査をします。

検査の画像で乳がんが否定できないときは、必要に応じて、乳腺MRI検査や細胞診・組織診などの病理検査(細胞や組織の一部を採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査)を追加します。細胞や組織の採取は30分くらいで終わり、局所麻酔を使用するため、検査中の痛みはほとんどありません。

Q8. ブレスト・アウェアネス(Breast Awareness)とピンクリボンとは?

自分の乳房の状態に日頃から関心をもち、乳房を意識して生活することを「ブレスト・アウェアネス」と言います。1990年代にイギリスで提唱されました。
日本では「乳房を意識した生活習慣」と定義され、4つのポイントが挙げられています。

  • 自分の乳房の“いつもの状態”を理解し、覚える。
  • 乳房の変化(しこり、血性乳頭分泌、乳頭や乳輪部のびらん、乳房の皮膚のくぼみや引きつれなどの“いつもと違う変化”)に気をつける。
  • 変化に気付いたら、すぐに乳腺科や乳腺クリニック、乳腺専門医のいる医療機関などを受診する。
  • 40歳になったら、2年に1回は乳がん検診を受ける。


また、ピンクリボンは、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の重要性を伝えるシンボルマークです。

Q9. 何歳まで検診が必要?

年齢が進むとともに、乳房内の乳腺は減少して脂肪に変化するため、脂肪の割合は多くなりますが、乳腺がゼロになるわけではないため、何歳になっても乳がんを発症する可能性があります。
年齢に関係なく、早い段階で乳がんが見つかれば、治療による体への負担が少なくて済む傾向があります。
しこり、血性乳頭分泌、乳頭や乳輪部のびらん、乳房の皮膚のくぼみや引きつれなどを見つけたら、迷わず、早めに乳腺科や乳腺クリニック、乳腺専門医のいる医療機関などを受診してください。

まとめ

  • 乳がん検診の主な目的は、「乳がんで亡くなる人を減らすこと(死亡率低減効果)」です。
  • 乳がん検診の検査方法には、マンモグラフィ乳腺超音波検査があります。
  • 高濃度乳房は、マンモグラフィだけでは、正常の乳腺に隠れているがんが見つかりにくいことがあります。
  • 年齢に関係なく、早期発見・早期治療が大切です。

自覚症状や不安なことがあれば、検診ではなく、乳腺科や乳腺クリニック、乳腺専門医のいる医療機関などを受診してください。

「医療の知恵袋~目で見る市民公開講座~」について、
閲覧いただきありがとうございました。

皆さんにとって、病気や健康を考える良い機会となれば幸いです。
(公開資料は2022年12月20日時点の情報です。)

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