産婦人科
診療責任者
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梅津 朋和
産婦人科部長
兼 化学療法センター長 -
長船 綾子
産婦人科管理部長
兼 母体胎児科部長
患者の皆さまへの一言
出産から婦人科疾患まで幅広く診療を行っています。
産科領域では年間約500件の分娩を行っており、ハイリスク妊娠や内科疾患合併にも対応しています。婦人科良性疾患では、低侵襲で入院期間も短い腹腔鏡下手術を積極的に行っており、悪性疾患に関してはガイドラインに沿った標準的治療を行っています。また、タイミング療法や人工授精などの不妊治療も実施しています。
当院には複数の女性医師が在籍しています。初めて受診される方も相談しやすいと思いますので、安心してご相談ください。
代表的な対応疾患
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婦人科 …子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、卵巣腫瘍、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん
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産科 …分娩、流産、早産、異所性妊娠、内科疾患合併妊娠、ハイリスク妊娠
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生殖・内分泌 …卵巣機能不全、排卵障害、不妊症
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女性のヘルスケア …思春期の月経異常、更年期障害、子宮脱
診療内容
産婦人科には、女性特有の疾患を扱う「婦人科」、妊娠や出産にかかわる「産科」、不妊症などの「生殖・内分泌」、更年期、思春期などの「女性のヘルスケア」の4つの分野があります。
婦人科
当院では、子宮筋腫や卵巣嚢腫などの良性疾患に対して、2007年から積極的に腹腔鏡下手術を行っております。日本産科婦人科内視鏡技術学会認定医が2名所属し、年間約280例の腹腔鏡下手術を行っており、愛知県下では有数の症例数です。腹腔鏡手術は開腹手術と比較して傷が小さく、痛みも少ない治療法です。そのため入院期間も短く、早期に社会復帰が可能です。
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2020年2月から良性の子宮筋腫や子宮腺筋症に対してロボット支援下子宮全摘術も健康保険適応となりました。ロボット支援下手術は、腹腔鏡下手術と比較すると手ぶれ補正機能付きで3Dによる立体視ができます。また、自由度の高い鉗子操作が可能であり、より繊細な手術が可能となります。症例に応じて手術術式は決定しています。
子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫に対する子宮鏡下手術および過多月経に対する子宮内膜焼灼術なども実施しています。
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悪性疾患に関しては婦人科腫瘍専門医の下、チームで診療にあたっています。日本婦人科腫瘍学会で示されているガイドラインに沿った標準的な手術や化学療法をはじめ、放射線治療専門医と合同で放射線治療や放射線化学療法も行っています。
以前より実施している腹腔鏡下子宮体がん根治手術に加えてロボット支援下子宮体がん手術も健康保険適用の手術になりました。
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子宮がんには子宮の奥(体部)にできる「子宮体がん」と、入口付近(頸管)にできる「子宮頸がん」があり、「子宮体がん」は婦人科がんの中でも近年増加が目立ちます。
子宮体がんの手術は、たとえ早期(子宮筋層浸潤2分の1以下、類内膜腺がんG1およびG2)であっても従来は大きく開腹して行われてきました。その場合は15cm~25cmほどの傷跡ができますが、低侵襲手術(腹腔鏡下手術やロボット支援下手術)では5mm~12mmの小さな孔4~5カ所程度で手術が可能であるため、手術後の痛みが少なくて術後の回復も早く、早期退院が可能になります(術後5日程度)。
早期子宮体がんは開腹手術と低侵襲手術では再発率や治癒率に差がないとされています。低侵襲手術は高度な技術が必要とされていますが、当院では産科婦人科内視鏡技術認定医と婦人科腫瘍専門医の協力のもと行われています。手術する部分を拡大視できることから、当院においても開腹手術と比較して出血量は少なく、手術時間も同等に実施できています。
しかし、子宮体がんの進行度や種類によっては健康保険適用での低侵襲手術はできません。IA期よりも進行している場合や、手術前の画像診断などでリンパ節転移が疑われる場合、あるいは手術中に進行期がIB期以上と判断した場合などは開腹手術が必要となります。
診察や治療、セカンドオピニオンなどを希望される方は、かかりつけ医からの紹介状をご持参のうえ受診してください。
産科
お産をされる方へ
正常な妊娠分娩はもちろんのこと、妊娠経過に問題のある方、妊娠と同時にさまざまな疾患をお持ちの方についても、院内の他科の医師とも協力して管理を行っています。生まれた赤ちゃんに何らかの問題がある場合は小児科医が新生児管理を行います。
お子さまが長い人生を歩む中で、心身ともに健康で幸せな生活を送るためには、妊娠と分娩前後の期間が極めて大切です。 私たちは「安全であること」を第一に考えた上で、次のことに力を入れています。
1. 自然なお産を大切にします。異常の無い方では、自然経過での分娩を待ちます。
2. 母乳育児を支援します。母乳育児推進のため、お産後は母子同室を原則としています。
妊娠中のお母さんのためのさまざまな教室(母親教室、マタニティヨガ教室、パパ・ママ教室、おっぱい教室)を開催しています。特に母親教室へは必ず出席していただきますようお願いします。
産科病棟の看護スタッフ全員が助産師であり、分娩から産後までのきめ細やかなケアを行っています。
また、2013年から助産師が中心となって「お産」を担当する院内助産も開始しました。ご希望の方はお問い合わせください。
<分娩予約について>
他院受診中で当院での分娩を希望される場合は、妊娠34週ごろまでに紹介状をご持参の上、当院を受診してください。特に双胎妊娠、骨盤位妊娠、合併症のある妊娠などハイリスク妊娠の方は、受診時期によっては十分な事前検査ができないこと、最適な時期の入院や帝王切開を予約できないことなどがあるため、34週よりも早く受診していただくようお願いいたします。なお、緊急搬送の場合は、他の方の手術予定などを変更してでも必要な治療や手術などを行いますので、この限りではありません。
<他院への搬送などについて>
妊娠の状態や時期、病床の使用状況などによっては当院で対応できず、大学病院などの高次医療機関へ紹介、母体搬送、新生児搬送などを行う場合があります。
<妊婦健診における選定療養費の扱いについて>
異常のない妊娠の妊婦健診は自費診療となるため、紹介状のない初診でも選定療養費(紹介状なし初診の追加料金)は不要です。
生殖・内分泌
当院では精液検査、子宮卵管造影などの不妊症検査からタイミング療法、人工授精までの不妊治療を行っています。体外受精などの高度不妊治療が必要な患者さんは専門施設へご紹介いたします。
女性のヘルスケア
女性は閉経前後になると、卵巣から分泌される女性ホルモンが減少してきます。その結果、のぼせ・ほてり・イライラ・肩こり・不眠・鬱などの不調(更年期障害)、骨が弱くなる(骨粗しょう症)などの変化が現れます。これらにもさまざまな治療法(ホルモン剤、漢方薬など)がありますのでご相談ください。
子宮や膀胱が下がってくる疾患(子宮脱、膀胱下垂など)には手術や、腟内にリングを入れることによる治療もできるのでご相談ください。
思春期の月経異常にはホルモン治療も行っています。女性医師が多いので相談しやすいと思います。
妊娠・授乳と薬相談外来
当院に受診中で、妊娠・授乳中のお薬に対する不安を持つ方を対象に妊娠・授乳と薬相談外来を行っております。
当院に在籍する妊婦・授乳婦専門薬剤師および妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師が、妊娠・授乳中に使用するお薬の赤ちゃんへの影響について調査し、関係する医師と協議した結果をもとにカウンセリングを行います。カウンセリングは自費診療です。
カウンセリングをご希望の方は、主治医にご相談ください。
ご相談は、産婦人科外来で受け付けております。
| 場所 | 産婦人科外来 | |
| 外来日 | 毎週水曜日 | |
| 時間 | 15:00~16:00 | |
| 費用 | 妊娠 | 5,000円(税込)/回 |
| 授乳 | 2,000円(税込)/回 | |
※相談時間の目安は30分程度です
診療方針
患者さんの安心・安全を第一に考えています。インフォームドコンセントを重視し、十分に説明をし、ご理解いただいた上で方針を決定しています。
また、他科・他部門と連携して、より良い診療を目指します。
診療実績
外来・入院患者数(人)
|
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2022年度
|
2023年度
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2024年度
|
|---|---|---|---|
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外来患者数
|
31,984 |
29,470 |
27,924 |
|
入院患者数
|
9,981 |
8,371 |
8,982 |
疾患別の治療・手術・検査実績(件)
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | ||
| 悪性腫瘍関係 | 開腹子宮悪性腫瘍手術(上皮内がんを含まず) | 16 | 15 | 25 |
| 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 | 1 | 0 | 1 | |
| ロボット支援子宮悪性腫瘍手術 | 22 | 13 | 10 | |
| 円錐切除術(初期子宮頸がんの診断および治療目的) | 47 | 60 | 67 | |
| 附属器悪性腫瘍手術(境界悪性群を含む) | 23 | 29 | 23 | |
| 良性腫瘍など | 子宮摘出(開腹手術) | 18 | 12 | 17 |
| 子宮摘出(腹腔鏡手術) | 92 | 61 | 34 | |
| 子宮摘出(ロボット支援) | 20 | 64 | 56 | |
| 子宮筋腫核出術(開腹手術) | 6 | 5 | 5 | |
| 子宮筋腫核出術(腹腔鏡手術) | 15 | 14 | 15 | |
| 子宮筋腫核出術(膣式手術) | 1 | 2 | 1 | |
| 卵巣、卵管に対する手術(開腹手術) | 13 | 8 | 15 | |
| 卵巣、卵管に対する手術(腹腔鏡手術) | 92 | 108 | 104 | |
| 子宮下垂、子宮脱手術 | 17 | 19 | 13 | |
| 子宮外妊娠手術(開腹手術) | 0 | 0 | 0 | |
| 子宮外妊娠手術(腹腔鏡手術) | 11 | 14 | 9 | |
| 子宮鏡手術 | 21 | 20 | 19 | |
| その他手術 | 26 | 25 | 12 | |
| 腹腔鏡手術の合計 | 261 | 279 | 231 | |
| 産科関係 | 総分娩数 | 549 | 424 | 472 |
| 経腟分娩 | 313 | 260 | 303 | |
| うち吸引or鉗子 | 48 | 40 | 50 | |
| 帝王切開 | 236 | 164 | 169 | |
| 帝王切開率 | 42.98% | 38.68% | 35.81% | |
その他
2024年6月より無痛分娩を開始し、2件実施(6月末時点)。
医師紹介
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氏名
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役職
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出身大学
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医師免許取得年
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主な専門領域
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指導医・専門医・認定医など
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|---|---|---|---|---|---|
|
梅津 朋和 |
産婦人科部長 |
金沢大学 |
1999年 |
産婦人科全般 |
・日本産科婦人科学会 |
|
長船 綾子 |
産婦人科管理部長 |
三重大学 |
2000年 |
産婦人科全般、 |
・日本産科婦人科学会 |
|
永井 孝 |
産婦人科医長 |
山梨医科大学 |
2007年 |
産婦人科全般 |
・日本産科婦人科学会 |
|
鈴木 祐子 |
産婦人科医長 |
浜松医科大学 |
2014年 |
産婦人科全般 |
・日本産科婦人科学会 |
|
黒田 啓太 |
産婦人科医員 |
名古屋大学 |
2017年 |
産婦人科全般 |
・日本専門医機構 |
|
小林 眞子 |
産婦人科医員 |
鳥取大学 |
2019年 |
産婦人科全般 |
|
|
佐藤亜理奈 |
産婦人科医員 |
富山大学 |
2019年 |
産婦人科全般 |
|
|
竹中 実咲 |
産婦人科医員 |
藤田医科大学 |
2020年 |
産婦人科全般 |
|
|
梅村 周平 |
産婦人科医員 |
高知大学 |
2021年 |
産婦人科全般 |
|
|
加藤 頼香 |
産婦人科医員 |
愛知医科大学 |
2022年 |
産婦人科全般 |
|
|
山本 真一 |
顧問 |
東京慈恵会医科大学 |
1980年 |
産婦人科全般、東洋医学 |
・日本産科婦人科学会
名誉会員、産婦人科指導医、産婦人科専門医 ・愛知産科婦人科学会 名誉会員 ・日本東洋医学会 指導医、漢方専門医 ・母体保護法指定医 |