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~目で見る市民公開講座~

2023年8月

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暑い夏 熱中症に気を付けて!
暑い夏 熱中症に気を付けて!

はじめに

熱中症は、毎年7万人前後が救急搬送されている誰にでも起こりうる病気です。
重症化すると命にかかわることもありますが、正しい予防法を知り、普段から気を付けることで防ぐことができます。
今回は、熱中症が起こる仕組みや予防法などについて詳しくお話しします。

熱中症とは

  • 高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまう状態です。
  • 屋外だけでなく、室内でも発症する可能性があり、重症化すると命にかかわることもあります。
    日中に発症することが多いですが、夜間や就寝中に発症することもあり、注意が必要です。
  • 予防が最も大切です。
    発症した場合は、早期に発見し治療することで、重症化を防ぐことができます。

熱中症が起こる仕組み

体内では常に熱が作られていますが、汗をかいたり(気化熱)、皮膚の表面から空気中に熱を逃がしたり(熱放散)して、体温を36℃前後に保っています。
しかし、高温多湿な環境では、この体温調節機能がうまく働かなくなります。
急に大量の汗をかき、体内の水分や塩分が失われることで血液の流れが悪くなるため、体内の熱を空気中に逃すことができなくなり、体温が上がり、熱中症を引き起こします。

また、高温多湿などの「環境」に、持病や体調などの「からだ」、激しい運動や長時間の屋外作業などの「行動」が組み合わさることにより、熱中症を引き起こす可能性が高まります。

環境

  • ・気温が高い
  • ・湿度が高い
  • ・風が弱い
  • ・日差しが強い
  • ・閉め切った室内
  • ・エアコンがない
  • ・急に暑くなった日
  • ・熱波の襲来

からだ

  • ・高齢者、乳幼児、肥満
  • ・からだに障害がある人
  • ・持病(糖尿病、心臓病、
     精神疾患など)がある人
  • ・持病(糖尿病、心臓病、精神疾患など)が
     ある人
  • ・低栄養状態
  • ・脱水状態
    (下痢、インフルエンザなど)
  • ・体調不良
    (二日酔い、寝不足など)

行動

  • ・激しい運動
  • ・慣れない運動
  • ・長時間の屋外作業
  • ・水分補給がしにくい

熱中症を引き起こす可能性

熱中症の発生場所

熱中症といえば、炎天下に長時間いた・真夏に運動をしていたといった場面を想像される方も多いと思いますが、約4割が住居で発生しています。
家の中にいても、室温や湿度の上昇により体内に熱がこもると、熱中症を引き起こす可能性が高くなるため、注意が必要です。

熱中症による救急搬送状況
(平成30年〜令和4年)

※端数処理(四捨五入)のため、割合の合計は100%にならない場合があります。

出典:総務省消防庁 令和4年10月28日報道資料「令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/
items/r4/heatstroke_geppou_202205-09.pdf

熱中症の発症年齢

高齢者が最も多く発症しており、約5割を占めます。次いで成人、子ども(少年)の順です。
高齢者は家の中、成人は屋外での仕事中、子どもは学校(特に運動中)に発症するという傾向があります。
平成30年~令和2年には、1,000人以上が熱中症で亡くなられ、そのうち8割以上が高齢者でした。亡くなられた方の中で高齢者が占める割合は、年々上昇しています。

熱中症による救急搬送状況
(平成30年〜令和4年)

※端数処理(四捨五入)のため、割合の合計は100%にならない場合があります。

出典:総務省消防庁 令和4年10月28日報道資料「令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/
items/r4/heatstroke_geppou_202205-09.pdf

高齢者は熱中症を発症しやすい

高齢者は老化により、温度に対する感覚が弱くなったり、体内の熱を逃がす機能が低下したりするため、熱中症を発症しやすいといわれています。

高齢者が熱中症を発症しやすい理由

  • 「暑い」と感じにくくなる
  • 喉の渇きを感じにくくなる
  • 汗の量を増やす機能や血流量を増やす機能が低下する
  • 汗の量や血流量が減る
  • 体内の水分量が減る

子どもは熱中症を発症しやすい

子どもは、汗をかく機能が発達していなかったり、体重に対して体表面積が大きく、環境の影響を受けやすかったりするため、熱中症を発症しやすいといわれています。晴天時は地面に近いほど気温が高くなるため、大人が暑いと感じる時、子どもはさらに高温の環境にいることになります。
また、本人が自身の体調の変化に気付かないことや不調を伝えられないこともあるため、周囲の大人が顔色や汗のかき方などに気を配る必要があります。

子どもが熱中症を発症しやすい理由

  • 汗をかく機能が発達していない
  • 体重に対して体表面積が大きいため、
    環境の影響を受けて体温が上がりやすい

熱中症の症状

熱中症は、立ちくらみがする・手足がつるといった軽い症状から、意識がない・体がけいれんするといった命にかかわる重い症状まで、段階的にいくつかの症状がみられます。

熱中症の症状と重症度分類

(日本救急医学会熱中症分類2015より)

熱中症が疑われる時の応急処置

熱中症を疑う症状が現れた場合は、すぐに応急処置を行い、お近くの医療機関を受診しましょう。

熱中症の応急処置

出典:厚生労働省「熱中症を防ぐために知っておきたいこと 熱中症予防のための情報・資料サイト」熱中症が疑われる人を見かけたら https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/
happen.html

熱中症の後遺症

熱中症は、まれに脳や脊髄に障害(中枢神経障害)が残ることがあります。脳に血液が行き渡らず、酸素や栄養が届かなくなっていた影響で嚥下障害(上手く食べられない、飲み込めない状態)や、歩行障害などが起こります。
また、重症度分類Ⅱ度では、発症2週間後に短期記憶障害(今日の日付がわからない、どこに物を置いたか忘れてしまうなど)や姿勢が不安定になるなどの症状が現れることがあるものの、3~6ヵ月後には改善することが多いです。
重症度分類Ⅲ度では、発症から1年が経っても、中枢神経障害が改善しない場合や、腎臓・心臓・肺などの臓器障害や血液凝固異常(血が固まりにくい)などの症状が続く場合があります。
熱中症の重症度が高かったり、処置が遅れたりすると、後遺症に繋がりやすくなるため、早期に適切な処置を行うことが大切です。

熱中症の予防法

熱中症を予防するためには、暑さを避けることと、こまめな水分・塩分補給が大切です。

出典:厚生労働省「熱中症を防ぐために知っておきたいこと 熱中症予防のための情報・資料サイト」
普及啓発用資材(リーフレット・ガイドライン等) 熱中症の予防についてのリーフレット
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/
pdf/necchushoyobou/necchushoyobou.pdf

まとめ

  • 熱中症は、毎年7万人前後が救急搬送されている誰にでも起こりうる病気でありながら、平成30年から令和2年まで、3年連続で1,000人以上の方が亡くなっています。
  • 地球温暖化に伴い、熱中症患者数は増え続けると予想されます。
  • 熱中症は、暑さを避けたり、こまめに水分・塩分補給をしたりして、普段から気を付けることで防げる病気です。
  • 熱中症が起こる仕組みや予防法を知り、自分でできる熱中症対策を心掛けましょう。

「医療の知恵袋~目で見る市民公開講座~」
について、
閲覧いただきありがとうございました。

皆さんにとって、病気や健康を考える良い機会となれば幸いです。
(公開資料は2023年8月18日時点の情報です。)

コロナ禍でも、医療機関で必要な受診をしましょう

1. 過度な受診控えは健康上のリスクを高めてしまう可能性があります。
2. コロナ禍でも健診や持病の治療、お子さまの予防接種などの健康管理は重要です。
3. 医療機関や健診会場では、換気や消毒でしっかりと感染予防対策をしています。
4. 健康に不安がある時は、まずはかかりつけ医・かかりつけ歯科医に相談しましょう。

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